T教団の知られざる実態

T教団とは、韓国発祥のキリスト教新興宗教で、あの桜田淳子さんや、X JAPANのTOSHIさんも一時入団したとかしないとか騒がれた教団です。


また、何千、何万人と言う新郎新婦が一つの場所で結婚式を挙げる「合同結婚式」については一時期TVにも取り沙汰されて世間を騒がせました。


わたしは、その合同結婚式で結ばれたカップルの間から生まれた「二世」だった。と言う事なんですね。


そんなわたしが、生まれ育った境遇のほんの一端を、あるエピソードを切り口として考察して行こうと言うのが、わたしが書こうと思うマガジンの趣旨です。


実はまだ1話目しか出来ていないのですが、テスト的に書いて、どの様に書いていけば一番良いか模索してる最中です。


記念すべき第1話は、【エピソード編】を主軸に、【自己分析編】【教団の実態編】などそれぞれのテーマに沿ったコラムなどをおさめています。元々一つの文章を分割した形なので、ご興味ある方は番号順に一通り読んでいただけたら幸いです。

ドラゴンフルーツの写真のついているマガジンです。(プロローグ含め7部作になっています)

この【教団の実態編】※改良、拡大版は、【教団の実態編】を編集し直したものです。所々かぶるかも知れませんのでご了承下さい。


もちろん、この本文のみのご購読も大歓迎です。
では、はじめてまいりましょう!

この文章も、前回の続きと言う形になっております。
☆☆☆☆
続き→
わたしはずっと、自分は「小児ぜんそくを患った健常者」と言うアイデンティティで生きていた。(喘息持ちで健常者と言うのもおかしいかもしれないが)母もごく自然な形で、その様にわたしを扱っていた。


だから当然、小学校にあがった頃には誰も私の前提条件(生死をさまよった事)を知る人がいなかったし、フォローする人はいなかった。それがそのうち、些細な誤解を生み、一人歩きする様な状態になったのだと思う。


当時、母がなぜそう言う態度しかとれなかったのかと言うのは、その背景を考えると自然と浮かび上がる。


そこには、新興宗教と言う特殊環境が深く関わっていだのだ。


当時わたしの両親が属していたT教団では、どこの地区でも信者が固まって団地に住み、その近くに小さい子供達を面倒見る施設が作られ、若い信者の母親達はそこに子供達を預けて主に教団側から言い渡された公務をこなす事を促されていた。

それは教団が、信者の子供たちを残らず「神の子」として教団の思想に沿った人物に育て上げるための一つのシステムだったと思う。


そのシステムは、教祖の仲人によって結婚した信者やその候補者だけを集めて、そこで産まれた子供たちを信者が一丸となって育てる事で、ある一定の期間子供達に外部の価値観を一切触れさせることなく一貫した教育を施すことにより、一種の「選民意識」を刷りこむのに一役買っていたと思う。


「選民意識」とは、辞書によると『自分達は特別な選ばれた存在であり、他の存在を卑しいと思い込む事』を言うそうだ。


T教団は「血統」を重んじていて、特に性的な事に関しては尋常じゃない厳しい規律を信者に守らせていた。


例えば、教祖の仲人で結婚する前に、一週間の断食(ファスティングに似ているが、教団内では食事を一切摂らず水のみで過ごす)をしなければならないとか、

入教時、処女童貞でない者は、一定のランクの基準に入れないとか、結婚後3年から7年は夫婦であっても禁欲生活をしなければならないとか 


「信者」、取り分け「教祖の仲人で結婚して子供を持つ資格を持つ信者」の位置を獲得するだけでも、大変なハードルを越えなければいけなかった時代もあった。わたしの親世代は、まさにその真っ只中だった。


その関門を越えたあかつきに授かった子供として二世が産まれると、本気で天から宝物を賜った様な感覚になり、この上なく大切にする風潮が生まれていた様に思う。 


しかし残念ながらそれは、単純な親の愛と言うよりは、極端な言い方をすると、その苦労に報いる一種の「戦利品」の様な感覚だったかも知れない。

今思い返すと、彼らは一定期間、一種の苦行の様な事をやり続けたのだから、意識は常に限りなくナチュラルハイだったに違いない。


信者達は教祖の事を「父」、その妻を「母」と言う位置づけで慕う様に教団から教育されていた。
同時に自分の子供達にも教祖の事を「父母」と思って慕えと教育していた。
その刷り込みも、今思えば信者達の感覚を狂わすのに一役買っていた気がしてならない。

 

要するにその流れから行くと、二世信者達は教祖から見たら「孫」のはずなのに、産んだ親達を差し置いて子供達にまで自らを「父母」と呼べと教え込んだ。


では、自分を産んでくれた親は何者なのか?と言う一種のアイデンティティの混乱を来す要素がさりげなく盛り込まれている。
親子関係における正常な位置関係の把握に混乱を来す可能性があると言う事だ。


二世信者本人より、彼らを産んだ親の方が、自然な流れの中で「私たちは代理の両親で、本当の両親は、教祖さま夫妻なんだよ」と教え込んで自らを「養父母」の立場に持って行こうとする状況設定を親子で無意識に肯定する立場を取るように促す様になっていた。